平成19年9月11日のこと
昼(13:00~)の公演を観劇した。「レ・ミゼラブル」の舞台は、フランンス革命前夜の頃(1815~1832年)となっている。
主役ジャンバル・ジャン(別所哲也)が仮釈放されるときの牢獄での暗い情景で幕開けする。暗い照明の中で劇場全体に立体音響で響き渡る歌唱力のすばらしさ。しかし、舞台の光景はどこまでも暗い。教会で金の食器を盗むが、司教は金の燭台も持って行けと渡す。この司教が行動で示した基督教の愛と救い、この教えが物語の全編を構成しているのだと思う。
8年後の場面は、仮釈放の身で逃走しマドレーヌと名前を変え、市長となったジャンバル・ジャンが経営する工場で働いていたファンテーヌ(渚あき)の演技を中心に進行する。工場を追われた彼女は、娼婦となり病に倒れて、ジャンバル・ジャンに救われるが、病状は悪化し一人娘コゼットの養育をジャンバル・ジャンに頼み息絶える。なお、ジャンバル・ジャンを追うジャベール警部(岡幸二郎)の追跡は最後の場面まで続く。 ジャンバル・ジャンは、意地悪な宿屋のテナルディ(徳井優)とその妻(瀬戸内美八)の元で囲われていたコゼットを、夫妻に金を払って引き取り、男手ひとつで育てる。夫妻の娘エポニーヌもコゼットをいじめていた。
それから9年後、成長したエポニーヌ(笹本玲奈)とコゼット(菊地美香)がともに慕う革命派の学生マリウス(藤岡正明)を巡って物語が展開する。マリウスに対する恋心を抑えてマリウスとコゼットの恋の橋渡をし銃弾に倒れ命を落とすエポニーヌの演技がこの章の最大の見せ場となる。その後、ジャンバル・ジャンは、同じく銃弾を受け重症となったマリウスを助け、コゼットとマリウスが結ばれるのを見届け、二人の愛につつまれたなかで逃走の人生の幕を閉じる。
このミュージカルの展開については、子供のときに翻訳小説「ああ無情」を読んでいたので違和感はなかったものの、「レ・ミゼラブル(惨めな々)」という題名のとおり、全編に亘り、夜、牢獄、窃盗、逃走、秘密、女の争い、娼婦、病気、失業者、ぼろ着、窃盗、革命戦闘、死などを交えて、惨めな人々の姿、生き様を描いており、どこまでも暗かった。物語の暗さにあわせるように舞台照明も暗く、イキイキわくわくというような夢、希望、感動を求めることはできなかった。確かに、この物語のテーマは、愛と希望であるが、それは悲劇や惨めさの裏返しにあるものだと言われているように思えた。たが、全編台詞は歌唱のみで、それぞれの配役の歌唱力のすばらしさには感動した。
毎回の配役はダブルキャストだが、今回出演者のプロフィルは次のとおり。別所哲也(42歳)は、司会、声優、俳優などジャンルが広い。渚あき(38歳)は、かつての宝塚星組の娘役トップスター (2001~2003.3)、細身の体つきの、か弱い感じが、ファンテーヌ役に似合っていた。岡幸二郎(40歳)は、福岡県出身で劇団四季の主要メンバー、背が高く人気がある。徳井優(48歳)は、引越しのサカイのひょうきんなCMであまりにも有名である。悪辣な宿屋の主人、そして没落した窃盗犯を面白おかしく演じて舞台を大いに盛り上げていた。瀬戸内美八(60歳)は、往年の宝塚ファンなら知っている昭和54年代の宝塚星組男役のトップスターで、60歳とは思えぬ若さと美貌と活力を今も有している。笹本玲奈(22歳)は、1998~2002年の5代目ピーターパン。菊地美香(23歳)は、2000年公演のミュージカルアニーのジャネット役でデビュー。藤岡正明(24歳)は、ミュージシャン。
なお、新妻聖子(26歳、愛知県稲沢市、上智大学出身、ミュージカルのシンデデラといわれる)、知念里奈(26歳、沖縄出身)と笹本玲奈が交代で演じているエポニーヌ役は、この回は笹本玲奈だったが、実は、かねがね私は、新妻聖子の演じるエポニーヌ役を見たいと思っていたので、少し残念だった。こういったことはタイミングの問題である。でも、入手したいと思っていた新妻聖子の2枚のCDを、ここで購入することができたので満足だった。
この新妻聖子の2枚のCD(各1,260円)を紹介する。①「新妻聖子夢の翼」(NHK「純情きらり」挿入歌)。01. 夢の翼、02.どこまでも青空、03. 夢の翼(Instrumental) 、04. どこまでも青空(Instrumental)。②「愛をとめないで~Always Loving You」(NHK「陽炎の辻~居眠り 磐音江戸双紙~」主題歌)。01. 愛をとめないで~Always Loving You~、02.ガラスのうさぎunplugged~、03. 愛をとめないで~Always Loving You~(Instrumental) 、04. ガラスのうさぎ~unplugged~(Instrumental)。
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