2008年11月21日金曜日

故実母供養の純白の胡蝶蘭の花びら散る

  昨夜、拝殿に置いていた3連の純白の胡蝶蘭の花びらがすべて散り終わった。9月12日に飯塚市の花屋さんが、「お母様の七日ごとの追善法要にお供えください」と言われ、贈られたものだった。それから数えて、すべての花びらが散るまで実に70日間(母の死から86日)かかったことになる。
  その間に母が残したもろもろの残務処理、相続手続きを完了することができ、花びらが散ったこの日は、丁度、母が卒業した尋常高等小学校の同窓生の人たちに出した喪中ハガキが、届き終わった頃であり、この散花は、これで一区切りがついたという証なのだろう。
  思い返してみると、実母の死後、母の家にあった遺品の数々は、一部の親族が跡形もなく持ち出した。形見分けという類ではなく、持ち出した品の多くは、リサイクルセンターや質店などに持ち込んで換金したと聞く。また、代理店として所有し残っていた大量の健康食品と得意先名簿や領収書を持ち出した人もおり、得意先に売却したものと推定される。これらのことを見聞するにつけ浅ましくも思えた。
  その後、残っていた大量のゴミを出し、廃品を業者に頼んですべて処分した。同時に母が所有していた古アパートの退去者が残していた大量の廃品ゴミも処分してもらった。この廃品処理に要した費用のほかに、これまで支払った費用はかなりの額になる。
  たとえば入院治療費、葬祭費、火葬費、お斎費、仏壇修理費、位牌代、霊園管理料、納骨費、未払いの固定資産税、後期高齢者保険料、介護保険料、所得税、町県民税、死亡所得者確定申告による税金と税理士報酬、電話通信料、電気代、ガス代、下水道代、鍵付け替え代、ゴミ袋代、アパート屎尿処理代、火災保険料、不動産移転登記料と司法書士報酬、相続税にかかわる税理士報酬、香典返し品代、喪中ハガキ印刷発送代、諸手続き(戸籍・改製原戸籍・除籍謄本、住民票、固定資産評価額証明、登記簿謄本、交通費、通信費)、その他雑件。
  これからも不動産を所有する限り付帯して支払わねばならない費用がある。たとえば、家屋修理費、植木の消毒や剪定費、除草処理代、電気代、アパートの屎尿処理費、固定資産税、所得税、町県民税、火災保険料費等等。
  母が残すはずであった現金は、生前、親切に母の面倒を見てくれていたAが持ち出した。追求してやっと返金してくれた額は僅かであった。母が一時呼吸困難に陥った6月初めに、彼は、それを待ちかねていたかのように、金庫を開け、現金、預金通帳、印鑑を持ち出したのであった。銀行では、引き出した事実もあり、印鑑盗難にすることを勧められたが、身内から犯罪者を出したくないという思いから、それはしなかった。しかし、母は死ぬまでAを許してなかった。
  また、健康食品代理店をして、大量の健康食品を仕入れ高額の仕入れ費を支出していた。いつも大量の在庫を抱え、自分でそれらを飲みすぎて肝臓を壊しただけで、採算が取れていたとは思えない。これらのことがあり、現金も預金もさほど残ってはいなかったが、諸々の支払の一部に充てることはできた。
  母にしてみれば、死後の処理のすべてを私に託して逝ったのだと思い、生前、母のためにさほど孝行らしきことをしてあげられなかった私としては、それに応えてあげなければという思いがあり、掛かる費用はすべて支払う覚悟で遺産相続した。
  遺産となった高台にある140坪の敷地上に建つ屋敷(築35年)、ここからの見晴らしは良いが、坂道の奥まったところにある土地で、売却するには面積が広すぎる。さらに不況の時代、売却するにしても貸家にするにしても難航しそうである。
  古アパートもほぼ同時期に建てられたもので空き室も多い。解体費をかけて解体するにしても居住者の立退きが容易ではなく、空き室を低家賃で貸すにしても改修費にかなりの費用がかかる。
  負の財産を相続したようなものだが、今はこの不動産問題を残すのみになっており、一応、諸々の雑件処理は片付いたといってよく、純白の胡蝶蘭は、これを見定めて、残っていた最後の花びらを散らしたのだと思う。
  母は、死後のことをすべて私に託し、それに応えるように次々に処理して行ったのを霊界から見守り満足して極楽往生している。厭離穢土 欣求浄土、南無阿弥陀仏。

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