平成19年4月8日(日)のこと。今月、本尊供養大祭を実施するにあたり、お迎えする本尊様と結縁神仏への事前御挨拶に赴いた。
本尊祠前の観音堂で「33観音」の絵馬を見上げていたが、随分と色あせてきているような気がした。以前その一部をRが線画にしたことがあるが、この33観音の所在地(絵馬の文字はほとんど読めない)及び現存の有無については未だ調べていない。
本尊祠に着いたとき、その右後方の眼下に見える池の縁を指差して、時節柄、孫に「以前、あそこに大きな桜があったんだよ」と言ったら、「池があったの、初めて知った」と言った。ここには何度も来ていたのに知らなかったのかとビックリした。当然知っているものだと思っていたが、思い込みだった。孫にとっては新たな発見となった。
祠前で勤行を始めたと同時に突然強風が吹き出した。そして、勤行が終わったと同時に吹き止み静かになった。この強風は集落や山中の神仏が四方からここに参集された証であった。池の水面も祠方向に向かって波打ち、神仏が水上を通って来られている様子が実感できた。山林にたたずむ上宮や中宮にも行きたいと思っていたところ、図らずもその神々の方がやってこられ「今日は行かずともよい」と。そのため、お供えしたお神酒が少なかったかなと思ったほどだった。したがって、山頂にも登らなくてもよいのだと思ったが、山頂にはここに参集された神仏と一緒に登れということだった。
祠前で「竹の子」が2本、頭のてっぺんを土の上にもたげ出そうとしていた。これがお供えとなった。このままにしていてよいのかとも思ったが、妻が「地元の人が(処分)するからいいよ」と言ったので、そのまま、この場を後にした。
祠への坂の途中にいつも吠える番犬がいるが、今日はどういうわけかおとなしく座り込んで頭をたれ一声も吠えなかった。神仏の姿を敏感に感じていたのだろう。
山頂に登ることには、猪出没の心配から妻が強く反対した。「危険なときは、道路の途中に柵がしてあるから引き返せばいい」と言って納得させた。ところが、本当に柵がしてあった。妻が「引き返そう」と言ったが、タイミングよく柵の向こうに男性がいたので、「猪がでますか」と聞いた。「たぶん出ないでしょう」と言われたので登ることにした。その人は、香を納得させるために神仏が遣わされた人であった。
山頂霊石にお塩とお神酒を上げたが、既に祠で神仏への挨拶は済んでおり、ここで軽く参拝をした後、弁当を広げ直会とした。食事が終わったと同時にまた強風が吹き、小雨も降り出したので、急いでお神酒を周辺にまき下山することにした。この強風は、一緒に登ってこられた神仏が退散されたときに巻き起こったもので、小雨は大祭前挨拶を受け止められた神仏のうれし涙だった。これにより本尊様と、その結縁神仏への大祭前の御挨拶を行うことができ、同時に大祭成就のお示しをいただいたのであった。晴れ晴れしい気持ちで帰路についた。
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