左の画像は、東京藝術大学大学美術館20世紀の切手と美術>に載っていたもので、この画像の切手は、1979年5月30日近代美術シリーズ第1集として発行された「悲母観音(狩野芳崖の絶筆1888年制作・重要文化財)」である。
現在、下関市立美術館で開催されている「狩野芳崖悲母観音への軌跡」で、原画が展示されている(11月5日まで)。狩野芳崖(1828~1888)の生誕180年、没後120年を記念してというが、同じくこの年忌を記念して、小学館からこの「悲母観音の完全再現版掛軸」が発行された。
パンフレットを見ていると、東京藝術大学(1887年創立)が創立120年の「満を持して世に送る、初めての作品」と銘打っている。デジタル化に伴う印刷技術の進展に意を決し、所有する多数の美術品のなかからこの作品を選んで、初めて「複製」制作したものらしい。
今回、東京藝術大学の正式認定を受けて発行された「悲母観音掛軸」は、限定480部(番号入り)のみで、価格は税込み126,000円(10月末日まで特価120,000円)。
その画像をここに掲載することはできないが、従来市販されている複製品は無認可復刻のため細部がハッキリせず、また派手な色彩になり、原画とかけ離れたものとなっているらしい。
たとえば、①まばゆい輝きを放つ宝冠の細工がつぶれていたり、②色彩あふれる描線をもつ立体的な雲が、濁った地色で派手に描かれていたり、③鳳凰など細やかな文様が際立ち色調豊かで軽やかな衣が、暗く純重な天衣になっていたり、④広がりと奥行きを感じさせる濃淡のある背景が、広がりのない単色の空になっていたり、⑤ふんわり浮かぶ水泡と生き生きした童子の画が、平坦な水泡とぼやけた童子の画になっていたりで、その違いは一目瞭然だという。
古田亮準教授(東京藝術大学美術館)の作品案内を次に転記する。
古田亮準教授(東京藝術大学美術館)の作品案内を次に転記する。
「この作品のように柳の枝を手にする観音は楊柳観音といい、病難救済を本願とする…。楊柳観音と善財童子という組み合わせの図像も多くの作例が残される。しかし、この悲母観音に見られる水瓶から落とされた浄水によって赤ん坊が命を与えられ地上界に降りていくかのような図像は、芳崖の独創といってよい。悲母とは慈母と同じ意味で、子供に対する母親の愛がこの作品の真のテーマとなっている。」
なお、悲母観音(慈母観音)は、中国で誕生した観音なので三十三(化身)観音のなかには数えられないが、日本では広く流布し信仰されている。
小学館から送られてきたパンフレットの複写図像に何度も合掌しながら観音信仰者の1人として本文(紹介)を記しました。合掌。
※画像はhttp://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/philately/geidai.htmlからお借りしました。
なお、悲母観音(慈母観音)は、中国で誕生した観音なので三十三(化身)観音のなかには数えられないが、日本では広く流布し信仰されている。
小学館から送られてきたパンフレットの複写図像に何度も合掌しながら観音信仰者の1人として本文(紹介)を記しました。合掌。
※画像はhttp://www001.upp.so-net.ne.jp/fukushi/philately/geidai.htmlからお借りしました。
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