篤姫で若村麻由美の出番は少なかったような気がするが、皇女和宮(堀北真希)の徳川家茂(松田翔太)に対する気持ちの揺れを見抜き、その母として気づかい、それとなしにアドバイスする演技は光っていた。
篤姫で一番印象に残っているのは34回、皇女和宮一行が江戸清水家上屋敷に着き、大奥の女中らが挨拶に行ったとき、和宮と観行院がお前たちに見せる顔はないといわんばかりに扇(檜扇か)で顔を隠した場面。ビックリする女中らの表情が可笑しかったが、扇の後ろでアップになった観行院(若村麻由美)の顔の美しさも際立った。宮中では、高貴な人が身分違いの人と会うときは、御簾(すみ)か几帳(きちょう)越しに行い、安易に素顔を見せないというしきたりがあったようで、ここでは、この扇を御簾の代わりにしたのだろう。
この若村麻由美、その頃放送されていた「刺客請負人2」で闇猫のお吉を演じていたが、その根城の浮御堂でも扇を持っていた。扇を仰ぎながら話をするお吉は、盗賊のようなもので、顔を隠すようなことはない。扇の種類も違い、身分相応の違いはあったと思うが、扇は、身分を問わず必須の持ち物だったのだろう。
最後は、観行院は死んだが、闇猫のお吉は闇を捨て町娘風のいでたちで一人旅立った。若村麻由美は、最近「セレブと貧乏太郎」で金髪の美田園真紀子役を演じているが、どんな役をしても美しく目立つ。
※画像は、NHK大河ドラマ「篤姫」で観行院役の若村麻由美。
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